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ハーバードでいちばん人気の国・日本
2017年06月28日 Life Style

『ハーバードでいちばん人気の国・日本』を読みました。

おはようございます!ブックキュレーターの永田です。
日本を称賛するテレビ番組やネット記事など、最近はお腹いっぱい気味な気がしてますが、うっかり「ハーバードでいちばん人気の国・日本」をジャケ買いしてしまいました(笑
はい、僕はハーバードという言葉に弱い典型的な日本人です。憧れ半分、アンチ半分な気分でハーバードの世界を少し覗いてみました。

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ハーバードでいちばん人気の国・日本/書籍情報

  • ハーバードでいちばん人気の国・日本
  • 発売日:2016/1/16
  • ISBN-10: 4569827276
  • ISBN-13: 978-4569827278
  • PHP研究所

ハーバードでいちばん人気の国・日本/書籍概要

ハーバードでの日本人気は物凄く、研修旅行の行先としての人気は絶大です。参加者を募集すれば数分で定員100名が埋まってしまいます。

そのハーバードでは一年目に必須科目、二年目に選択科目を学びます。授業は「ケース」と呼ばれる教材をもとに議論が行われます。本書の中身は「何故そのケースを選んだのか?」「そのケースに何を感じたか?」「生徒がどのように反応したか?」などを教授にインタビューする形で綴られています。

ケースでは新幹線の『お掃除劇場』にはじまり、トヨタ、ホンダと誰もが知る世界企業から、福島第二原発、昭和天皇まで様々なケースが紹介されています。

最後に筆者から教授たちへ『日本の強みとは何ですか』『日本がさらに世界に貢献するにはどうしたらいいですか』と二つの質問で締めくくられています。

ハーバードでいちばん人気の国・日本/INDEX

  • 序章 なぜハーバードはいま日本に学ぶのか
  • 第一章 オペレーション -世界が称賛した奇跡のマネジメント
  • 第二章 歴史 -最古の国に金融と企業の本質を学ぶ
  • 第三章 政治・経済 -「東洋の軌跡」はなぜ起きたのか
  • 第四章 戦略・マーケティング -日本を代表する製造業からIT企業まで
  • 第五章 リーダーシップ -日本人リーダーのすごさに世界が驚いた
  • 終章 日本人が気づかない「日本の強み」を自覚せよ

ハーバードでいちばん人気の国・日本/気になったところPICK UP

ハーバードでは現在の日本企業だけでなく、古くは江戸時代から研究しています。

世界初の先物市場・堂島米市場

意外に思われるかもしれませんが、日本は現存する世界最古の企業が生まれた国で、世界初の先物取引が生まれた国でもあります。

ちなみに、世界最古の企業は株式会社金剛組と言われています。

なぜシカゴの商品先物取引所が誕生する約百二十年前に、日本の商人たちは先進的な市場をつくりあげることができたのか。

その一つの要因として、十八世紀の日本人の知的水準が圧倒的に高かったことがある。当時、日本人の識字率も就学率も、世界的にみてかなりのレベルにあった。多くの町人が寺子屋に通い、読み書きと計算を身につけた。

日本人の知識レベルが非常に高かったことは、先物取引だけでなくその後の近代化にも大きく影響しています。何故これだけ知識レベルが高かったかというと、やはり寺子屋の存在は欠かせません。

本書には書かれていませんが、日本人のオタク気質が江戸時代でも大きく影響したようです。数学のナゾナゾが江戸の町に大ブームを起こします。ある人が数学の謎かけを瓦版のようなモノで町に流し、みなが我先にと回答を考える。そして、一番最初に回答出来た者がまた新しい謎かけを町に流す。これがどんどん広がり、当時では世界でもトップレベルの学力を普通の町民が持っていたといいます。

まさにオタク天国、日本!

福島第二原発を救った「チーム増田」

ハーバードの日本の教材は現存する企業に限らず、先ほどの江戸時代まで遡ることもあれば、福島第二原発のような企業ケース以外のことも学びます。

これは世界に伝えるべき素晴らしいリーダーシップの事例だ、と思いました。そこには先が全く見えないなかで、勇気をもって決断したリーダー(増田尚宏所長)の姿がありました。増田さんの行動は、あらゆるリーダーの模範になると思いました。そこで論文を書き、ハーバードでも教えることにしたのです。

授業では極限の危機的状況の中で増田さんがどのようにリーダーシップを発揮して、チームをどのように率いていったかを研究します。

ケーブルは一本の長さが二百メートル。重さは一トンもある。二百人の作業員たちはそれぞれケーブルを二メートル間隔でもち、数百メートルの距離を運んでつなぐ、という作業を繰り返した。

・・・中略・・・

不眠不休で作業を続け、最終的に作業員が引いたケーブルの長さは九キロメートル。通常なら重機を使っても一カ月はかかる作業だ。それを人間の力だけで、二日間でやり遂げたことになる。

・・・中略・・・

三月十五日午前七時十五分、一号機から四号機のすべての冷温停止を達成。それは原子炉内の最大圧力が基準値を超えると予測されていた、わずか二時間前のことだった。

この極限の作業をどうして成し遂げることが出来たのか?どのようなリーダーシップが発揮されたのかをさらに研究します。

増田さんは、作業員でごった返す緊急時対応センターで、ホワイトボードにひたすら数字と図を書いていったのです。つまり『私にも何が起こっているかわからないが、少なくともいま私が知っていることはこれだ』と作業員と情報を共有したのです。これを社会心理学では、『センスメーキング』(sense making)といいます。

・・・中略・・・

センスメーキングとは、置かれた状況を能動的に観察し、理解しようとすること。これは、その場にいる人たちが同じ情報を共有し、次のアクションを考えるのに役に立つ。数字やグラフなど客観的な情報は人を落ち着かせる効果があるからだ。作業員がパニックに陥らなかったのは、初期段階で冷静に状況を説明されたからだろう。

・・・中略・・・

リーダーシップのカリキュラムではありますが、ここまで不測の事態は無い程の極限状態で発揮したリーダーシップをハーバードでは研究していました。

トヨタやホンダなどの企業の経営ばかりを研究しているのかと僕は思っていましたが、このケースはとても衝撃的で、かつこのような危機的状況下での行動を学ぶカリキュラムがあったとは本当に驚きました。

ハーバードでいちばん人気の国・日本を読んでみて。

『ハーバードでいちばん人気の国・日本』結構サクッと読める一冊になっています。

ハーバードで取り上げられるケースには、ご紹介したようなケースが、20ページ程度にまとめられています。ハーバードの学生は卒業までに500本のケースを学びます。そのうち必修科目で学ぶ日本のケースはたったの6本です。これは僕は少ないというか寂しく感じました。これが冷静にアメリカが見た世界なんだろうなぁと感じ、もっと日本も元気を出さなくっちゃいけないなぁと思いました。

最後にこの本を読んでいていいなぁと思った一文を紹介したいと思います。

戦後、日本が奇跡的な成長を遂げたのは、若者が力を発揮したからです。戦争で多くの働き盛りの男性が亡くなったため、日本が復興するためには若い労働力を活用するしかありませんでした。若者が創造性を発揮し、知恵を絞ったからこそ、成長することが出来たのです。同じことをいま、日本はやるべきだ、と私は考えます

モス教授は最後に「日本は必ず変わることができると信じている」と力説した。

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