文化・芸術・クリエイティブ実験室 / 上野・浅草 / WEB/IT/インバウンド
おはようございます!K2代表永田です。
ここ数年なんとなくに耳にするUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉。ぼんやりとわかるんだけど、結局のところあれって何だっけ?事例とかあまり聞かないなぁ。そんな風に思っている方も多いのではないでしょうか?私のまわりにもそんな疑問を投げかけてくる人が増えてきました。
K2ブログをご覧のみなさんの中にはWEB業界・IT業界以外の人も多いと思います。今日は、事例を交えて出来るだけわかりやすく、UX(ユーザーエクスペリエンス)について考察してみたいと思います。
結論ファーストです!
UX(ユーザーエクスペリエンス)に明確な定義はありません。
な、なんと!
いきなり話題が頓挫してしまうような結論が出てしまいましたが、どうやらこれは本当のようです。
概念そのものは、認知心理学者のドン・ノーマン博士が1990年代前半に提唱した「利用者中心設計」とされています。利用者中心に様々な評価基準をもうけテストすることをUX(ユーザーエクスペリエンス)と呼んでいるケースが多いです。
UXとは(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)の略称です。
それぞれ訳してみると・・・
つなげて直訳してみると、『利用者の体験』のようなニュアンスになります。
UX(ユーザーエクスペリエンス)は人により捉え方は様々ですが、権威ある機関ISOではISO9241-210で次のように定義しています。
原文
perceptions and responses that result from the use or anticipated use of a product, system or service
和訳
製品、システムまたはサービスを使用した時、および/または使用を予測した時に生じる個人の知覚や反応
う~ん、なんだか学術的過ぎて意味がぼんやりしちゃいますね。
ISOとは?
国際標準化機構(こくさいひょうじゅんかきこう、英: International Organization for Standardization)、略称 ISO(アイエスオー、イソ、アイソ)は、国際的な標準である国際規格を策定するための非政府組織。スイスのジュネーヴに本部を置き、スイス民法による非営利法人である。公用語は英語・フランス語・ロシア語。各国1機関だけが参加できる。国際標準化機構が出版した国際規格 (IS) もISOと呼ぶ。
引用:wikipedia
少し難しいですがこれらを踏まえて、私たちケイツー・インタラクティブではUX(ユーザーエクスペリエンス)を次のように定義することにしました。
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは利用者が製品・サービスの体験で得た価値ある感動
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは利用者が製品・サービスの体験で得た価値ある感動と定義しました。つまり、あらゆるモノ・コトが対象になるということです。
例えば、こんな事例・・・
「開かずの踏切が高架線になり、待たされて電車に乗り遅れることが無くなった。」
これ、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上ですよね?
「蓋を開けると飛散って汚れる醬油がリニューアルして使い勝手が良くなった。」
これもUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上です。
もっと言ってしまうと、「あのお店、店主が変わって味が良くなった!」
これもUX(ユーザーエクスペリエンス)向上のひとつと考えることが出来ます。
今、WEB業界を中心としたIT業界の中で、やれUX(ユーザーエクスペリエンス)だ!やれUI(ユーザーインターフェイス)だ!とブームになり、なんとなくIT用語のように聞こえてしまっている人もいるかもしれませんが、UX(ユーザーエクスペリエンス)の本質を考えると上記のような事例も当てはまります。
UI(ユーザーインターフェイス)にしても、車の操縦席とか、テレビのリモコンとか事例は沢山あり、遥か前から研究されている分野なんですよね。
最近その言葉が何故かWEB業界・IT業界の中で流行っているのです。
それでは一体何故このUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉が、今になってあちこちで聞かれるようになったのだろう?
それは、スマートフォンの登場が大きく影響しています。
UX関連の書籍を読んでも、ネットの記事を読んでも、UXに対して書かれていることは、実は21世紀初頭からWEB業界・IT業界の人たちが注力してやってきたことばかりなのです。例えば、ペルソナを設計してUX向上しようとか、プロトタイプを作ってPDCAを回してアジャイル開発でUX向上しようとか、more… more… ネタをげればキリが無いくらいあります。
しかしながら、大きく変わった点がひとつだけあります。
利用者の環境です。
今まではパソコンからWEBサイトを閲覧、もしくはITサービスを利用することがほとんどでした。ガラケーも存在しましたが、体験という面では通信・機能面にかなり制限があり、社会に与えた大きなインパクトは電話・メール・写メ以外に無かったように思います。それがスマートフォンの出現によってGPSやSNSの利用が定着し、人々の生活そのものが変化しました。
そこで改めて、今まで気を付けてきたことをもう一度見直す意味でのUX(ユーザーエクスペリエンス)、また価値を付加する意味でのUX(ユーザーエクスペリエンス)として注目されているのだろう、と私は考えています。
続いてUXデザインについて少し考えてみたいと思います。
UXデザインについてもやはり明確な定義は無いようですが、その言葉から想像できるのは『UX(ユーザーエクスペリエンス)をデザインする』もしくは『UX(ユーザーエクスペリエンス)に最適なデザイン』でしょうか。
ここで改めて気を付けたいのは、UX(ユーザーエクスペリエンス)を最初にきちんと定義するということです。
例えば、下記のような[導入]から[体験]までの流れがあります。
[導入]チラシ→WEBサイト(IT/クラウドサービス/アプリ)→店舗→購入→[体験]
上記全てのコンタクトポイントに対して、UX(ユーザーエクスペリエンス)を定義すると、製品・サービスの本質がぼやけてしまいます。もし私がUX(ユーザーエクスペリエンス)をひとつに絞るとしたら[体験]です。理由は、体験することで初めて利用者が価値を感じることが出来るからです。それらを踏まえ、[導入]から[体験]までのストーリーをデザインすることがUXデザインなのではないのか?と私は考えています。
この図はケイツー・インタラクティブオリジナルのフレームワーク、ボーダレス・マップです。認知から体験までをオンライン・オフライン隔てなく可視化出来るようにデザインしています。この図を基にUX(ユーザーエクスペリエンス)をデザインすることはとても効果的です。
もちろん他にもいろいろなケースが考えられます。
例えば、ECショップを事例に考えてみましょう。
小さなECショップは利用者が購入した商品を使う場面にUX(ユーザーエクスペリエンス)を定義することが出来ます。一方、アマゾンや楽天のような巨大ECサイトは、そのWEBシステムの中でUX(ユーザーエクスペリエンス)を定義する必要があります。ネットゲームなどもインターネット内でUX(ユーザーエクスペリエンス)が定義出来ますね。
このように、UX(ユーザーエクスペリエンス)の定義は一定のものでは無く、製品・サービスの目的に沿って変化します。
繰り返しますが、UX(ユーザーエクスペリエンス)は
これらを踏まえ、最初に定義することが大切です。
定義されたUX(ユーザーエクスペリエンス)を[導入]から[体験]までに関わるプロジェクトメンバーと共有して、各所が次のコンタクトポイントへいかに絶妙なパスを渡していくか?を考ることがUXデザインではないでしょうか?
つまりは、UXデザインとは『利用者を価値ある感動へ導くためのグランドデザイン』だと私たちは定義します。
オンライン英会話教室を事例に挙げるとしたら、UX(ユーザーエクスペリエンス)をこのように定義することが出来ます。
もちろん、『使いやすいインターネットサービス』も、『英会話教室に資料請求してもらう導線』も超・超・超・超重要です。
しかしながら、コンタクトポイント毎に
UX!! UX!! UX!!
と言ってしまうと、利用者が体験で得た価値ある感動が一体何なのか?混乱してしまいます。
利用者は体験するまでのコンタクトポイントをポジティブに意識することはありません。理由は、利用者の興味はコンタクトポイントに無いからです。
利用者が本当に価値を感じるのは氷山の一角だけなのです。しかしながら、水面下ではありとあらゆる施策を練り、実施しなければプロジェクトは成功しないということがこの図からよくわかります。
UX(ユーザーエクスペリエンス)って最近よく聞くけど、事例ある?、いかがでしたでしょうか?『実はUX(ユーザーエクスペリエンス)には明確な定義がない』これだけ「言葉が」流行っているのにも関わらずこの結論は結構驚きでしたね。
利用者が製品・サービスの体験で得た価値ある感動
利用者を価値ある感動へ導くためのグランドデザイン
今日検証した内容を基に、私たちはこのようにそれぞれを定義しました。
ケイツー・インタラクティブはこのボーダレスマップを活用して、コンセプト設定・導線デザインを中心に多様なサービスをご提供しています。お気軽にお問い合わせください。
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