文化・芸術・クリエイティブ実験室 / 上野・浅草 / WEB/IT/インバウンド
おはようございます!ブックキュレーターの永田です。
私は世界の文化を知ることが大好きなのですが、特に一人の人間が見聞きした旅行記は何よりもリアリティがあって楽しいです。
『テレビで見る世界』のように制作された世界からは伝わってこない、人と人との関わりや、未知の地での様々な出来ごとと、その心理描写などはとてもワクワクします。
この世界の祭りをめぐる冒険は、旅好き、祭り好きの私の友人が、世界の祭りに参加して「見て」「体験して」「感じた」ことをストレートに綴られています。
作者の言葉から伝わる熱量が『世界の祭りのリアルな体験』を伝えてくれる、酒と祭りに満たされた、リアルでバカバカしい作品です。
世界で開催されている18の大祭・奇祭の体験記。全8編で構成されていてどこから読んでも楽しめます。
本書はガイド的な要素は少なめで、ズボラな作者の適当でスリリングな旅物語がメイン。旅先で起こった喜怒哀楽ある出会いやピンチが続く珍道中が綴られています。
この書籍は8つの旅で構成され、人間、がむしゃらになったらここまでできるのかっ!?っといった内容が各所に綴られています。そんな旅の中からひとつ、Pick Up して紹介します。
旅の冒頭・・・。
楽しみな海外、世界のお祭りを見に行くのに、ワクワクしながら出発を待ちわびる。なんて雰囲気は全編通して一切ありませんでした。常に行き当たりばったりな作者の行動に、最初はハラハラしつつも、読み進めるにつれてお決まりの展開に、逆に安心するようになってきました(笑
海から飛行機へ
8月16日、スリランカへの出発を明日に控えた私は、友人たちと千葉の安房勝山で海水浴をしていました。カバンにパスポートを忍ばせながら。なんでこれから海を渡る人間が、緊張感もなく千葉の砂浜で健康的に小学生とキャッチボールをしたり・・・
・・・中略・・・
そう、そんなヌケサクがぼんやり海の感覚をひきずったまま、短パンで空港へ行くのです。翌17日、勝山を午前6時12分発の電車に無事乗れました。10時50分成田発のフライトに間に合うだろう。やったね。
海は海で楽しそうですが、なにもこれから海外遠征する直前までそんな。。
ただ、この行き当たりばったりなノリと自由が、不安から次第に魅力に変わって来るんです、不思議ですね。
空港で怒られた
チェックインしたとき、途中のバンコクまでのチケットしかもらえなかったけど、これって毎回乗り換えの度にチケット引き換えするってことですよね。大丈夫?帰りのシンガポールでは乗り換え1時間しかないんだけどな。まあ、先のことは置いておいて、んだばちいと落ち着くか。
ゲート近くのお店でビール、おいしいなあ~。うい~。早起きして空港に朝ちゃんと来ることができた達成感、余裕の大人の気分ってやつかな。むふふ。満たされてるぜ、オレってやればできるじゃん。
ふう、さてそろそろ支度を・・・。47分か。ん?50分に飛行機飛ぶんじゃなかったっけ?ま、いっか・・・。じゃない!まずい!走り出す。ビール瓶持って空港ロビーを走り出す。ああ、いかにもだれかを待ってて、そわそわしている感じの空港職員たち。ビール瓶持って登場&搭乗する訳にはいかない。えい、この空港の通路の角に瓶置いちゃおう。んで、何気ない表情で、鼻歌まじりで搭乗口へ。
・・・。。
ビール瓶通路の角に置いちゃダメっ!!
この後、空港の方に怒られたものは言うまでも無さそうですが、無事搭乗することが出来たのはさすがでした。
ふぅ。。
作者とくだ氏の珍道中は、成田に到着する前から常に始まっています。真剣なのか、ふざけているのか・・・、とにかく必死な瞬間があることは伝わってきます。
テビワラ駅、再び
私が駅のホームで電車を待っているとき、一人のあんちゃんが声をかけえきた。背が高く黄色のシャツを着ている。肌の色は真っ黒だ。スリランカは初めてかい?スリランカはどうだい?どこまでいくんだい?そんな感じの会話ののち、軽い口調でタバコをくれと言うから、1本あげました。するとそのあんちゃん、タバコをその箱ごとくれと言い出した。さすがにダメと言って、そのあんちゃんから離れる。つきまとってきたらやだなーと思っていたけど、そういうことにはならなかったので、ほっとしたのもつかの間。ふと見ると、私の顔をみながら切符を買ってるんですよ。理由は分からないけど、私をつけてくる気がする・・・。
これ怖わっ!!!
絶対怖いヤツだ。。((((;゚Д゚))))
この後も、このあんちゃんとの恐怖体験が綴られていました。。見知らぬ土地、常に気を張っていないとどんなトラブルに巻き込まれるか・・・。
ただ、海外旅行あるあるですが、このようなトラブルが後々楽しい思い出話(武勇伝)になったりするんですよね~。但し、無事に帰国した場合に限る。
さあ、ペラヘラだ!
てくてく宿から歩く。10分ほど坂道を下ると湖に出た。そして湖から見える対岸の祭りの灯。揺れて、移動している。爆竹と太鼓の音が遠くに聞こえる。こ、これは、とんでもなくでかい祭りだぜ!
暗い湖沿いの道をもくもくと早足で歩く。祭りの音が次第に大きくなってきた。そしておよそ30分後、いよいよ本丸と思われる祭り至近の橋の上まで来たら、なんと警察が柵を立て入場規制しているではありませんか!会場は目の前で、今まさに賑やかな集団が近くを通っているところだ。なんだこれ、なんで近づけないんだ!
ぎゅうぎゅうに人が密集状態にあるなか、最前列まで分け入って、警官に私は猛抗議。しかし、その言い分はとても稚拙なものでした。
「オレは日本からこれを見に来たんだ!オンリーこれだけのためだ!
分かるか?ユーノウ?
飛行機で13時間だぞ」
「オレはこれを写真に撮って、日本に紹介するのがミッションなんだ!」
「なんで入れないんだ!Why? なんでだ。これはなんだ!(柵だ)」
「こんなゲートがあるなんて、いったい誰が知っているというのか。ノーバディノウズだろうが。そこのあんた、あんただってそうだろう?あんたしってたか?(隣のおっちゃんを問い詰めると、うんうんと相槌を打ってくれました)」)。テレビで見た、外国人風の大袈裟なリアクション、生まれて初めてやったかも。そんなふうに抗議しながら、一眼レフカメラを見せる私。もし間に合わなくなったら、国際問題だぜ!と言わんばかりの勢いだったと思います。警官は撮影に来た外国人というところで、カメラを視界に入れつつパスポートを見せろと要求。見せたら「特別だからな」と私だけ柵の中に入れてくれました。
そこで足止めを食っている100人ほどの人たちには申し訳ないけど、地元の人っぽかったし、明日もそして来年もあるかと。何より周囲のいきさつを聞いていた人たちが、私が中に入れたことを喜んでくれていました。やったねと。
このひと悶着は、書籍の中でも好きなくだりです。とくだ氏の漢(おとこ)っぷりがグローバルに通用した瞬間、そして周りをまき込む勢い、躍動感に満ちた一節でした(笑
このようなやりとりを世界中の祭りで繰り広げているとくだ氏には、もう脱帽するしかありません。そして、語学力よりも熱量が相手を動かすことが良く伝わってきます。
もっと前へ
さて、そんな現場にいても、まだ祭りのすぐそばまでには行けてないわけです。柵を1枚越えたこの場所の前にも柵があり、人垣のうしろから爪先立てて祭りを見ている状況。ここからは有料なのでしょうか。
爪先立ちに少々疲れた私が、集団から離れて一休みしていると、トントンと肩をたたかれた。このあんちゃんに「こっち行け」と言われた。なになにと指差された方向へ一人進む。狭い通路というか、人の肩幅ぐらいしかない屋台と屋台の隙間だ。この暗い道の先に何があるんだろう?と思って進んだその先、あれ?行き止まり・・・。しまった!騙された。連れ込まれた!こわっ!
ソッコーで引き返すが遅かった。血相を変えた私の方へ、逆側からその暗く狭い路地を、さっきのあんちゃんが駆けてやってきたのだ。肩幅ほどの路地、逃げ場はない。すごい勢いでこっちに来る!
こ、これはかなり怖い。本当に怖い。
ただ、読者はこのあと、とくだ氏の凄さを、まざまざと見せつけられることになるのです。
えっ!?何がですって?
続きは書籍でお楽しみください☆
「『世界の祭りをめぐる冒険』を読みました。」、いかがでしたか?
全8編、どこから読んでも楽しめるように構成されていますが、全編を通して、酒、トラブル、酒、遅刻、酒、祭りと一貫して綴られています。
自由に旅し、綴られたこの書籍を読んでいると、冒険のようにワクワクとした気持ちが高まり、私の中で、自由な旅への憧れのようなモノが生まれてきました。
そしてもうひとつ、この書籍でとくだ氏は、コミュニケーションに大切なことは、語学力では無く、伝えたい熱意だことを身を呈して伝えてくれます。世界で生きる人間力のあり方のヒントがこの書籍の中に書かれているように感じました。
おはようございます!K2代表永田です。 ここ数年なんとなくに耳にするUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉。ぼんや...
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