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お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」
2017年03月22日 Life Style

『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」』を読みました。

おはようございます。ブックキュレーターの永田です。
歴史とかジョギングとかばかりじゃなくって、たまには経済でも勉強しようと思って手にとった、経済関連の書籍『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」 』。
やっぱり歴史かよ!っと自分自身突っ込んでしまいましたが・・・。物ごとの大局を見るときにはどうしても歴史を見ていかないと判らないことって多いんですよね。

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書籍情報

  • お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」
  • ISBN-10: 9784041032190
  • 発売日: 2015/12/10
  • 出版社: 株式会社KADOKAWA
  • 著者: 大村 大次郎

書籍概要

古代エジプトからリーマンショックまで5000年の歴史を、『人物や国家』ではなく『時の権力者とお金』にフォーカスしています。お金はどのようにして流通され始めたのか?から始まり、無敵のナポレオンは何故敗れたのか?世界経済を動かした「ロスチャイルド家」とは?歴史的な大事件から社会の変化まで、時の権力者たちの栄枯盛衰を経済の成り立ちとともにわかりやすく解説しています。

INDEX

  • 第1章:古代エジプト・古代ローマは”脱税”で滅んだ
  • 第2章:ユダヤと中国ー太古から”金融”に強い人々
  • 第3章:モンゴルとイスラムが「お金の流れ」を変えた!
  • 第4章:そして世界は、スペインとポルトガルのものになった
  • 第5章:海賊と奴隷貿易で”財”をなしたエリザベス女王
  • 第6章:無敵のナポレオンは”金融戦争”で敗れた
  • 第7章:「イギリス紳士」の「悪徳商売」
  • 第8章:世界経済を動かした「ロスチャイルド家」とは?
  • 第9章:明治日本の”奇跡の経済成長”を追う!
  • 第10章:「世界経済の勢力図」を変えた第一次世界大戦
  • 第11章:第二次世界大戦の”収支決算”
  • 第12章:ソ連崩壊、リーマンショックー混迷する世界経済

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”経済後進国”だった中世までのヨーロッパ

中世までのヨーロッパというのは、世界経済全体から見れば、片田舎に過ぎなかった。当時の世界経済の主役は、中国とイスラム勢力だったのだ。
・・・中略・・・
イギリスの経済学者アンガス・マディソンの研究によると、西暦400年~1000年までの、中国人ひとりあたりのGDPは、西洋諸国の人々よりも30%高い水準だったという。

このように、当時は今とかなり異なる世界情勢でしたが、このバランスが一変したのが大航海時代です。当時のヨーロッパ諸国にとって強大な国力を誇るオスマントルコは東アジアとの交易の壁でした。その為にヨーロッパ諸国は中国をはじめとした東アジアと交易をするには海洋に出る必要がありました。

最初に海洋進出し大航海時代の幕を開けたのはポルトガルです。スペインと陸地で全ての国境が面しているポルトガルは、東アジアどころか他のヨーロッパ諸国にも簡単には行けませんでした。大航海時代はこのように必要に迫られて海洋進出したのが始まりでした。

次に台頭してきたのは無敵艦隊を持つスペインです。スペイン・ポルトガルは海洋進出によりアメリカ大陸にたどり着き大量の銀をヨーロッパにもたらしました。

結果としては、この大量の銀流入が原因で、スペインでは大インフレが起こり国力が衰退していくというのが一般的な歴史認識です。本書籍ではさらに経済の側面から、当時の消費税のシステムが失敗して大インフレがおこったのではないか?と検証しています。

次に台頭してきたイギリスは「産業革命」よりも「他国からの略奪」で発展することになります。

リーマンショック

リーマンショックは、近い目で見ればアメリカの住宅バブルが原因といえるが、少し長い目で見れば、世界的なマネーゲーム化が大きな要因となっているといえる。
・・・中略・・・
90年代後半から現在まで、世界中で投資ブームが起き、マネーゲームが加速していったのである。
それが、リーマンショックを引き起こしたとも言えるのだ。

筆者はリーマンショックの原因を住宅バブルだけでなく、もう少し長いスパンで考えることが出来ると述べています。つまり、ソ連の崩壊とともに富裕層に対する税金の仕組みが変わり、また投資に対しても減税が行われたことも、リーマンショックを引き起こした要因の一つと言うことです。

お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」 を読んでみて。

本書を通して一貫してブレないお金と権力の流れがありました。ブレ無いということは筆者がブレていないのではなく、歴史的事実として必ずそうなって来たということです。

国が興るとき、国は強力な中央集権体制のもと発展していきます。発展とともに拡大した地域は、中央が管理出来なくなります。そこで中央集権制から封建制へと移行し、それぞれの領主の裁量の基で徴税が行われ、領主が私腹を肥やすようになります。領主の中には中央より力を持つ者も出て来る一方、民衆は国から領主からと何重にもなった重い税収に不満を募らせるようになり、やがて国は崩壊していきます。

このパターンは古代から現代まで、ほぼ変わることなく繰り返されてきたパターンです。

『古今東西、国家を維持していくためには、「徴税システムの整備」と「国民生活の安定」が絶対条件』筆者がこのように述べていますが、これが成り立たなくなると国が崩壊しまうということです。

ソ連崩壊以降人々の間では格差が広がり、1%の富裕層が実に世界の富の半分を持っているという『国際NGO「オックスファム」』の報告書は世界に衝撃を与えました。政府の規制を緩和・撤廃して民間の自由な活力に任せ成長を促そうとする新自由主義はどこか封建制度に似たものを感じずにはいられません。

本書でも『この状態は、フランス革命前のフランス社会にも似ているといえる。』と書き添えて締めています。

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